ユーザーの理解するためのデザインの心理学

 世の中には、デザインを純粋に芸術的な仕事と考えている人がたくさんいます。
 私には美的センスがないからデザインなんて無理だわ……、って思っている人も少なくありません。

デザインはセンスでやるものって思ってませんか? 美的センスやインスピレーションの感覚だけでは、デザインをするのには不十分です。逆に言えば、その原則がわかれば、絵が下手で音痴なあなたにも素晴らしいデザインを作成することはできます。

 デザイナーは仕事を正しく行うために、科学の知識とそれに付随したスキルを持っている必要があります。むしろその重要性をおざなりにしているデザイナーの方が多い。芸術であるだけでなく、効率的かつ生産的に働くための知識も必要です。

 デザイナーがユーザーを理解するのに役立つ研究の1つは、心理学です。

 この記事を読み終えるときには、あなたはもうデザインの原則を理解できています。

デザインにおける心理学

 最近のデザインのトレンドに、ユーザー中心設計というものがあります。

 UXという言葉を産んだドナルド・A・ノーマンの著書「The Design of Daily Things」では、デザインをコミュニケーションの行為と定義しています。つまり、デザインとは、ユーザーを深く理解することを意味します。人々のニーズをよりよく理解するために、デザイナーは人間の行動、願望、動機の心理的原則を常に考え、観察する必要があります。
 科学は対象を綿密に理解するために役立ちます。デザイナーがクリエイティブに心理学を適用すれば、仕事の結果が大きく前進する可能性があります。例えば、購入や連絡など、ユーザーの期待に答えられるような設計をすることができるということです。

 心理学を学習せず、感覚だけでデザインをしてしまうデザイナーも多く、そのため、調査や分析をすることをおざなりにしてしまいがちです。別に博士号を取得しろ! と言っているわけではなく、あなたの仕事をよりよくするために、心理学を効果的に利用しようというのが本記事の目的です。

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ゲシュタルトの法則

 ゲシュタルトの法則は、100年くらい前の理論です。

ゲシュタルト崩壊って言葉聞いたことありませんか? 眺めていた文字が、どんどん崩れていくような感覚のやつです!

「ゲシュタルト」というのは「統一された全体」を意味しています。

 いわゆる視覚的認識における心理学なのですが、これはいくつかの要素を持っており、

  • 類似性:形の似ている物体を見ると、それらを1つのグループの個々の要素として自動的に認識する傾向。類似性は通常、形状、色、サイズ、テクスチャ、または値で定義され、この類似性により、ユーザーはデザインの一貫性を感じることができる。
  • 継続:人間の目が1つの物体から別の物体に自然に移動する原理。
  • 閉鎖:ユーザーは欠落している部分を想像で補うことで、物体を完全な形状として認識される。
  • 近接:物体が近接して配置されている場合、物体それぞれが類似していなくても、グループとして認識される。
  • 図/地面:物体を背景から分離する傾向。

 ゲシュタルトの法則は、実際には私たちの脳が無意識に錯覚を引き起こす傾向を示しており、デザイナーはその誤解の可能性を排除するために、これらの原則を考慮した設計をする必要があります。

内部反応

WEBサイトやアプリを開いた時に、自分の好き嫌いがあると思います。。
例えばこのサイトカッコいいし見やすいとか…

 こういった反応は、本能的な反応です。嫌だとか見にくいと思ったら、脳がそれを拒絶しているのです。DNAレベルでこれは影響しています。


 ではデザイナーはこれらをどうやって利用すればいいのでしょうか?

 かっこよくて、素敵な美的印象を作り出したいですよね。
 顧客とそのニーズを知っていれば、その人々にとって何が見栄えが良く、何が見栄えが悪いかを推定することができます。ランディングページ、Webサイト、またはその他のWebやモバイル製品で美しい写真を使用したりと、色々試しながら顧客の反応を伺っていきましょう。

スタートアップは、実験のようsなものなのです!

色の心理学

 色が人間の精神、行動、反応に与える影響を研究する科学は、色の心理学と呼ばれます。 色彩理論と呼ばれるものも存在してますね。色にも理論がちゃんとあるのです。

 色はかなり複雑であるため、あまり深いことまで言及できませんが、一言で言えば、色がユーザーの知覚に大きな影響を与えるということです。そのため、デザイナーは自分が設計したものが正しいメッセージを顧客に伝えられるように、意図的に色を選択する必要があります。
 色の与える影響と意味について一部紹介いたします。

  • :情熱的、強い、または攻撃的な感情。愛、自信、情熱、怒りなど、良い感情と悪い感情の両方を象徴している。
  • オレンジ:エネルギッシュで温かみのあるカラーが、ワクワク感をもたらす。
  • :幸せの色。日光、喜び、暖かさを象徴。
  • :自然の色。心を落ち着かせ、新たな気持ちをもたらす。経験不足を意味する場合もある。
  • :一体感。通常は落ち着いた気持ちになるが、悲しみにもつながる。
  • :多くの王が紫色の服を着ていたため、長い間王族と富に関連付けられてきた。謎と魔法の色でもある。
  • ブラック:たくさんの意味があるが、悲劇と死に関連している。謎を意味することもある。伝統的で現代的である可能性もあるため、どのように使うか、そしてどの色がそれに合うかに依存する。
  • :純粋さと無垢、そして全体性と透明度を意味する。

パターン認識

 1つのテーマに統合されたWebサイトまたはアプリケーションは、大体、統一されたパターンがあります。Webサイトにアクセスしたり、アプリを使用したりする場合、人間は特定の種類の製品に関連するものを見たいという期待が強いため、これらは実は心理学に基づいた設計になっております。

 たとえば、美容院のWebサイトにアクセスする場合、顧客は猫や犬の写真などを期待しませんよね。もし美容院にそれらの写真が溢れていたら、信頼度が下がると思います。

 色や写真だけが重要ではありません。 ブログのフロントページにあるブログ投稿のリストやeコマースWebサイトのフィルターなどを明白にすることで、顧客に伝わるメッセージが変わります。

ヒックの法則

 ヒックの法則によると、ユーザーが選択肢が多いほど、決断を下すのに時間がかかると述べられています。これは、製品であれ、写真であれ、ユーザーに提供する選択肢が多いほど、次のステップに進むまでにかかる時間とエネルギーが増えることを意味します。つまり、製品を使用した後に不快な気持ちを感じる可能性が高くなります。最悪の場合、顧客が離脱してしまうでしょう。

 そのため、デザイナーはボタン、画像、ページなどの選択肢を最小限に抑えることをお勧めします。 不要な選択肢を取り除くことで、製品の使いやすさが向上するのです。

まとめ

 心理学はユーザー中心デザインの成功に近づけるだけでなく、創造的で生産的なデザイン生み出す、アイデアであり普遍的なルールです。今回紹介したのはほんの一部ですので、自ら本を手に取り、学習を始めることをお勧めいたします。

References