長年に渡って全てのテクノロジーは発展をしているのにもかかわらず、人の心の動きはいまだに複雑で、理解するのが難しいですね。Emotional Design という本の中で、ドナルド・ノーマンは、感情のシステム、つまり人間の感情に関与する部分を3つに分解して説明しています。
- 内省的
- 行動的
- 本能的
これらの各要素は、感情システムに深く結びついて織り交ぜられています。
3つの部分を一緒に確認していきましょう!
内省的
意思決定が行われる認知レベルと本能はリンクしています。無意識レベルの認知と異なり、本能的な認知は、より深く、そしてゆっくり行われます。
本能は、UX自体に関係します。 製品の没入体験した後の感覚のようなものであり、その製品の体験自体をどのように記憶し、もう一度製品を使用するかどうかに関わってくる部分です。
これは製品を使用したとき発生するイベントの後に起こり、それを元に行動と結果を評価することができます。 感情が一番高鳴るときは、反射的、本能的に反応しています。いいものを見たときは、
「これ好き!」
と反応し、そのあとに、理由が続きますよね。
前向きな反応だった場合、ユーザーは自分の経験を他の人と共有したがりますし、製品を使っている誇りとそこにアイデンティティを見出すことさえあります。 本能的で感情的なデザインは、製品の意味、思考の影響、経験の共有可能性、および文化的影響を捉えているのです。
行動的
一度、やり方を学んでしまうと、また同じことをしたいときは、目標を考えるだけで、その方法は無意識的に実行されてしまいます。体に染み込んでいる感覚に近いですね。
スポーツ選手などがスポーツをしている時にいちいち自分が次に何をするかなどを考えていないですよね!それと似たようなことです。
車の免許を持っている人は、車に乗り、運転席に座るだけで、ほとんど操作は無意識のうちに行われます。 道のりや周囲を意識的に注意する必要がありますが、その場合でも、筋肉の実際の制御は意識的な知覚の下にあるのです。他の車にぶつからないように集中すると、手は自動的に調整されています。
アクションと分析の多くは、無意識下で行われます。アクションを意識的に行っているときですら、詳細的なところについては、無意識であることが多いのです。我々がなにか話すとき、意識は自分自身が言葉を発しているのを聞くまで、自分がなにを話しているのかよくわかってません。
行動レベルは、ユーザビリティと関係しています。これは、基本的に、製品の実用的および機能的な側面を指しています。
行動設計には、使いやすさ、製品の機能、パフォーマンス、および有効性が含まれます。このあと説明する内省的は、より一人一人の主観的な部分なのですが、個体差がありますが、一方で行動レベルは簡単にテストすることができます。 たとえば、ユーザーがタスクを完了するのにかかる時間や、製品でなにかを実行しようとしたときに発生するエラーの数などを観察することができます。
行動レベルの例としては、コンピューターのキーボードでの入力のしやすさ、小さなタッチ画面での入力の難しさ、使いやすいゲームコントローラーを使用したときにゲーマーが感じる快感さ、などが挙げられるでしょう。
私たちがなにかを実行するときに使う労力や難しさ、複雑さを製品が最小限に抑えることができるように設計されているのなら、感情はよりポジティブに働きます。
反対に、製品が使いにくく、私たちの行動を制限するようなデザインの場合、行動の目標の制限や調整などが必要になり、ネガティブな感情や感想、ときにはクレームにまで陥ってしまうかもしれません。
良いデザインは、ユーザーの能力や製品に対する信頼をさらに高めることに繋がります。ユーザーの行動と期待値の間に直接的な相関関係を生み出すことは、それだけ効果のあることなのです。もし、そんな製品に出会ってしまえば、人々はその喜びをもう一度体験したいと思うので、繰り返しあなたの製品を使用してくれるでしょう。
本能的
内省的な部分は、人の感情システムの中でも防衛本能的な部分のメカニズムと関係があるようです。たとえば、周囲の環境に対し、良し悪し、安全か危険かなどの迅速な判断を下すような部分です。 より運動系にリンクしているところの話ですね。
内臓システムは無意識の思考に関連しており、イベントに迅速かつ無意識のうちに対応することができます。 その反応は、斬新で予期しない出来事に対する驚愕反射を引き起こします。 それは人が意識的にコントロールできないレベルにあるので、それは即座の反応を示し、状況の文脈や歴史に影響されない感情的な状態を生み出します。 内臓レベルの応答は、原因が原因でなく、非難も信用もない場合に、イベントを瞬間的に自動的に評価します。
ここは無意識の思考に関連しており、迅速かつ無意識のうちに反応しています。 もはや人が意識的にコントロールできないレベルにあるので、状況の文脈や過去に影響されない感情的な状態を生み出します。 瞬間的かつ自動的にデザインを評価しています。
本能的な反応は、はじめての感覚体験によって引き起こされます。第一印象に作用するんですね。第一印象がよければ、もっと使ってみたい、知りたいと思いますよね。
優れたデザインは、製品の視覚的品質と、ユーザーがどのように感じるか、また、UXやビジネス的関心を高めます。そうやって感情を引っ張り出しています。
勘違いされがちですが、内省的というのは、製品がどれほど使いやすく、効果的で、わかりやすいか、とは関係ありません。 優れたデザイナーは美的感覚を使用して、これらの内省的な反応を促進しています。