(後編)猫山課長著書「銀行マンの凄すぎる掟」出版記念トークイベントレポート

<< 中編へ

共感される営業の極意

質問者:
自分はSUNABACOや猫山課長の話をきいて呪いを解こうとしているが、親や周りの人は「呪いにかかったままでいい」と思っている。そんな人とうまく付き合っていくにはどうしたらいいか。

猫山課長
周りとのギャップは出てくると思います。ただ、大きく勘違いしてはいけないなと思うのは、僕がやっているアクションが正しいとは限らないということ。
呪いは呪い、だけど呪いが間違っているという答え合わせはまだ出来ていない。
呪いにかかっている人が正しい可能性もある。その認識を残しておくと相手のことも許せる。
慌てて答えを求めない。
こいつら間違ってると思うと敵になってしまう。味方を増やしましょう。
私はこうやって頑張ってるしあなたもそうやって生きているしどっちも正しい、そして仲良くいきましょうというスタンスがベストなんです。

ナカムラ:
本当のことを言って戦うにはその戦える腕力をつけてないと潰されちゃうんですよね。
潰されないようにするにはどうしたらいいかっていうとそうやって温和にやりながら戦略を作ってうまく切り倒せるやり方を探る。

猫山課長
なんとなく勝つっていうのがベストだと思っている。
勝ちました、その要因は何ですかって言われた時に「これが勝利の要因です」っていうの僕ダメだなと思ってて。なんとなく勝ちましたって言うくらいが一番いいんじゃないかと。

ナカムラ
それでいうと田端信太郎ってキングオブサラリーマン。
Twitterではあれだけ炎上させるの大好きおじさんですけど、実際会ってトークセッションとかではめちゃくちゃ腰が低い、対立構造を基本的に作ってこない。
色々話をきくと彼は仕事でも争わないことを最優先にしているんですよ。争わずに勝つ方法を戦略的に持っている。

猫山課長
営業していて、営業の奥義って何かなって考えた時に、競合して自分を選んでもらったときに相手に理由を持たせないっていうのがベストだと思ったんですよ。
A社B社が競合してA社が勝ったとする、B社は「弊社はなぜ負けたんですか」って聞く。そこで相手が「金利が安かったから」とかいうとB社は金利を下げてもう一回お願いできませんかって言う、そうするとぐちゃぐちゃになっていく。定量的な勝因敗因を言われてしまうとそれを覆されてしまう。
僕が営業マンとしてこう言われてしまったらもうお手上げだって思うのかなって考えた時、「そうだよね、でもやっぱりA社だったんだよね」って言われると定量的なものもないし、もうどうしようもないじゃないですか。それが営業の奥義だと思っています。

ナカムラ
それでいうと今日会場にいる鈴木さんもめっちゃうまいなと思うんですが、Twitterで見積もりお願いしてくるお客さんには別にやらなくていい、みたいな感じのことおっしゃるんですけどまさにそれで、「なんでウチから買うの」「あんたやから」でいい。

猫山課長
まさにそれなんですよ、営業マンの極意って定量的に選ばれないってことが大事なんです。
やっぱりあなただよね、やっぱりどこどこ銀行さんなんだよねうちはって言わせるように時間かけて持ってくって言うのが一流の営業。

ナカムラ
鈴木社長はそのガス器具が高かろうがなんだろうが、なんかあったときに今日土曜日だけどあなたが言うからって駆けつけるみたいな過去の蓄積なんですよね。

猫山課長
一朝一夕ではできないんでトータルで「あなただから」って持っていかないと数字の競合なんて地獄ですから。
そう言った意味でもグレーにもっていく、数字とか白黒はっきりつけないところに相手を放り込んだ上でこっちに引き寄せる。
それくらいやるとすごく色んなことがやりやすくなるけどそのためには一挙手一投足、めちゃくちゃ相手を観察しないといけない。
礼儀正しく、時には笑わせて人間臭く入り込んでいって「やっぱりあなただね」「やっぱりこの会社だよね」としていかないと価格競争だけになってしまう。

ナカムラ
僕は逆に腕力だけでナンバーワンを取りにいって勝つというやり方をしているのでしんどいです。
常に誰よりも勉強して何よりもやって結果を出すっていう。絶対外れないですから。
でもそんなことをしていても人柄でパシッともっていくやついるんですよ。
ああなるのが一番。

猫山課長
言い方はあれですけど、カタイですよね。弱い人ほど量や質で勝てない人はそっちに持っていくしかない。
僕のnoteもそうで、エビデンスベースで書いているnoteって結構少ないんです。
「と思う」という言葉が多くてそこは猫山課長の雰囲気とか文体とかグレーなところを意識している。そうじゃないとエビデンスベースとか数字ベースであのペースで書き続けるっていうのは無理なんです。

ナカムラ
僕なんかはエビデンスで殴りつけるタイプなのであんまり好まれない。けれどそれは本気の人しか狙いたくないので僕はそういう手法をとっている。
ファンを作りたい人はエビデンスで殴ってはいけない。なんとなくこの人いい、っていうのが強いですよね。

質問者:
今回の本の表紙はどのようにして決めたのか。売り上げを伸ばすために考えたことはありますか。

猫山課長
表紙は完全に編集者と出版社にお任せです。
どうやったら売れるのか、自分は初めて本を出すので素人でわからないので売れる本を作るプロにお任せした形です。
プロモーションに関しては箕輪さんが本を出されたタイミングで、Twitterでの動き、プロモーションの仕方などを観察して真似していました。

ナカムラ
猫山さんがやられていたように、何かをやろうとしたときにうまくいってる人に任せるっていう話があったんですが、これを『モデリング』っていうんですよね。
うまくやっている人の動きを徹底的にコピーして真似る。
あと、今、田端信太郎さんがTwitter講座を売り始めているんですが、僕はうまくTwitterを運用しててフォロワーも多いアカウントなんだけど、彼からDMでセールスしてきました。
今モノを売ることで大事なことは、そういう本人がドブ板営業で「買ってくださいお願いします」って言うことじゃないかと思っている。
ホリエモンさんもそう、ミュージカルのイベントをやって、その休憩時間に本人がシャンパンを売りにくる、本人がきたら断れないじゃないですか。それでバンバンシャンパンも売れる。
普段から人とのエンゲージメントを作って何かお願いしたら断れないみたいな関係を作っておく。

猫山課長
あれだけの知名度の人でも泥臭い営業をやっている。
僕らも彼ら以上の営業をしないといけないけれどやってないんですよね。

ナカムラ
猫山さんの普段のnoteの「スキください」も、泥臭くやっているんですよね。
有名ではない著者の本であっても、今これが売れているっていうのは、猫山課長がうまくいっている人のモデリングを普段からやっているからだと思います。

 これからのビジョン

質問者:
共感を重要視するという点で、元々は凡人であった猫山課長ですが、すでに有名人になりつつありますよね。だんだんと大衆は「もう有名人のあなたに共感と言われたところで」となってしまったとき、noteの文体などに変化を考えられていますか。

猫山課長
正直、普通のサラリーマンが本を出してこれだけ多くの方に集まっていただけることもまずないので、そう言った意味ではもうあれなんじゃないって言われるのもそうだなって思います。
ですが、共感をベースにしていきたいのはこれからも変わらないところで、ど底辺からここまでいけるんですよっていう一つの事例として、面白おかしく見ていただきたい、自分でもできそうな成功談として。飛び抜けた成功事例ではなく、プチ倖せを掴みました、みたいな事例としてずっと見ていただきたいなと。
こういうステップで行ったっていうのを真横で並走して見ていただきたい。
伴走していただいて、僕は一か八かよくわからん道を歩くので、あなたが歩きたいかもしれない道を先に僕が歩くのでよく見ててね、っていうことです。


質問者:
猫山課長のnoteは銀行マンからみた世界が中心で、でもこれからそう遠くない未来に銀行マンじゃなくなる日が来ると思うのですが、そうなると今までのスタイルで書き続けることも難しくなるのでは。人生100年時代と言われるなかあと50年はどのようなビジョンで活動される予定ですか。

猫山課長
おっしゃる通り僕のnoteは実体験をもとに書いていることが多くまあネタは20年以上サラリーマンやってますから結構まだまだあります。
サラリーマンじゃなくなったときにどうするかってなったとき、「狭間」のことは書けるんじゃないかって思っています。
サラリーマンから脱したってその狭間で何があったかってところは掘り下げられると思うんですよね。
サラリーマンからそうじゃなくなった時の苦労であったりとか視点の変化とか。
そういう経験ってまた僕の蓄財になってまた情熱を持って発信できるのではないかと。

ナカムラ
今後とも猫山課長の変化と、猫山課長もおっしゃってましたがちょっと先をいく猫山課長について「次に誰が続くのか」ということも見ていきながら、「己は誰だったのか」を思い出すために日常を離れてこうやって旅費と時間を使って集まって来てくださることは非常に貴重で、また己を見つけることは皆さんの人生にとっても良いことがあるのでぜひまたこのような機会があるときにはお越しください。
猫山課長、本日はありがとうございました。

トークイベントのあとは猫山グッズが当たる抽選会やサイン会など、ご来場者のみなさんと猫山課長で交流を深められていました。
登壇いただきました猫山課長、ご来場いただいだみなさま、ありがとうございました!