【熊本県企業立地課✕SUNABACO】 トークイベントレポート 地方だからこそ広がるITの可能性

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 いま、都会ではなく地方から新しいことを始める芽が出てきています。
地方では、医療をはじめとし様々な問題がある中で、どうチャレンジし、新たな事業を産んでいくのでしょうか。

2021年11月13日 熊本県企業立地課×株式会社SUNABACOのトークイベントを、株式会社TRIART 代表取締役 今津研太郎氏をゲストに迎え「地方だからこそ広がるITの可能性」という演題で開催しました。

八代市の職員をはじめ地元の方々、全国のSUNABACOスクールの受講生や卒業生、また全国たくさんの企業の皆様から参加がありました。

SUNABACOだからこそ聞ける、中身の濃い内容となったイベントの全貌をお伝えします。

登壇者紹介

代表取締役 今津 研太郎九州工業大学知能情報工学科卒。 6歳よりPC6001でアセンブラによる開発を行う。 14歳で業務システム設計等のビジネスに携わり、高校時代に実用レベルのP2Pアプリケーションを開発。大学在学時20歳で起業し、研究開発した技術を社会へ実装する組織としてTRIARTを発足。オリジナルなアプローチで、高効率な解決法や事業設計の立案を得意とする。

今津研太郎 株式会社TRIART代表取締役

福岡に拠点を置く 株式会社TRIART 代表取締役。
九州工業大学知能情報工学科卒。 6歳よりPC6001でアセンブラによる開発を行う。 14歳で業務システム設計等のビジネスに携わり、高校時代に実用レベルのP2Pアプリケーションを開発。大学在学時20歳で起業し、研究開発した技術を社会へ実装する組織としてTRIARTを発足。オリジナルなアプローチで、高効率な解決法や事業設計の立案を得意とする。(株式会社TRIARTホームページより抜粋)

中村良 株式会社SUNABACO代表

全国の地方に展開する 株式会社SUNABACO 代表。

シリアルアントレプレナー
アクセラレーター
UXデザイナー
テクノロジストとして数々の
スマートシティ、シビックテックなど先進プロジェクトをリード。

日本最大級のプログラミングスクールSUNABACO代表としてリカレント教育、次世代の教育に関わる。

当日の内容はYoutubeにて公開中!

地方だからこそ広がるITの可能性

両氏は、地方で規模の小さいビジネスや付加価値の小さな仕事をするだけではありません。世界を相手にし、大きな会社と仕事をしています。
ですが、その拠点は東京などのいわゆる大都市ではなく地方です。

「何かを始める時、一番最初の『これやれるのか?』や『社会に必要とされるのか?』というのは地方から始めることができる。」と述べる両氏。 その真意に迫ります。

遠隔医療はP2Pという”とんち”で解決?

今津氏(以下敬略):

熊本大学医学部とともに、10年以上前から遠隔医療に取り組んでいます。

10年前、当時は遠隔医療は(制度上)禁止でした。

中村氏(以下敬略):

この課題をとんちのように解決したのが今津さんです。

まず、個人情報を守るために、厚生労働省で医療用のサーバーを用意するルールがあったんです。
しかし、医療サーバーは目が飛び出るほど高いという問題がありました。


そこで、これをとんちのように解決してしまったんです。

今津さんのシステムは、そもそもサーバーを置かないようにしているんです。

P2P 分散コンピューティング”というやり方でデータのやりとりをしています。
以前のSkypeがやっていたのがわかりやすい例です。

P2Pではサーバーを置かないので規制のルールに引っかからないというわけですね。

今津:

これに乗っかってきてくれたのが熊本県だったんです。

10年やってきて、100件くらいの事例がありました。これから社会実装に持っていかなければいけないというフェーズです。

イノベーションの質の変化

中村:

 「イノベーション」というものの質が変わってきています。いままではイノベーションというのは、技術の進歩のことでした。

 しかしAIにしろ、ブロックチェーンにしろ、技術だけでは社会に実装されないという側面があります。
そのような中で、何が重要かというと、

実証実験を地域の皆さんとして、社会への検証や問題点を修正しながら社会に出していくこと。
これが産業になっているんです。

イノベーションができるかどうかは、テクノロジーの発展よりも、社会実験ができるかどうか。

にかかっているんですね。

 例えば、今では誰もが知る大企業が、熊本県の八代市を実証実験としての場として選ぶようになりました。
これまででは、考えられないことです。

 今の時代、イノベーションは実証実験なくして実現することは不可能です。

しかし、もちろん企業だけでは実証実験はできません。 
地域の皆さんと、一緒に行う必要があるんですね。

でも、なぜ地方都市で行うのか というと、

それは全国に水平展開できるからです。 

東京のような大都市は日本には東京にしかないのです。
一方、八代市と同じような地方都市は、大都市に比べ圧倒的に多いです。
※八代市の人口は約12万人(令和2年国勢調査人口速報値による2020年10月1日の人口。
 ほぼ同人口の都市に三重県伊勢市、北海道江別市 など。

つまり、地方都市で実証実験をし、検証や問題解決をする方が大きなマーケットに進出できるというわけなんです。

今津:

 ビジネスのトレンドが大きく変わり、一つの製品の水平展開が簡単ではなくなっているんです。

大企業が作ったソリューションが、そのまま横に広がっていく時代は終わったということなんですよね。

そして、かつては東京にいて、机の上でこれらを考えていたんですが、

このトレンドはもはや完全に過去のものになっています。

TRIARTでも、業務は地方で行い、契約やビジネス調整だけを東京に残している状態です。

医療に取り組むきっかけは、子供の頃に心臓病だったこと

今津:

子供の頃に心臓病だったんです。

自分は医学に助けてもらったんですが、同じ病室にいた病気の方は、亡くなってしまいました。

なぜかというと、他の人たちは助ける手段がまだなかったんです。

自分の病気は治せる手段があって、自分のところに届いた。

 誰かがイノベーションを起こしても、それが届かないと意味がないですよね。それを仕事にしようと思ったんです。

ITに強かったのでITの学部に入ったんですが、ITというものは上手に使われないんですよね。

悪い使い方をすれば悪くなってしまう。


それよりは医学の方がしたいと思い、在学中にお医者さんに相談してみたんです。

そこで「医者は医療を回すための職業だから。」と言われました。

いわば継続であり、イノベーションを起こせるかというとそうではないんですね。

それをきっかけに、技術があるんだったら技術を使って医療をすればいいじゃないかと思いました。

それが1999年のことです。

携帯から医療へ。 しかし立ちはだかる壁

今津:

そんな時、携帯の時代がきました。

携帯があったらどこでも通信ができると。

そしたら、医療ができてみんなが助かるんじゃないかと思いました。

そこで、携帯系の開発に関わっていきました。

そして、これをやってたらiphone が出てきたんです。

「これがあったらいけるのでは?!」と思い、遠隔で連携するモデルを考えてみました。

そしたら医療は全然そんな世界ではなかったんですよ。

熊本で実証をするのはなぜなのか

「こんなことやりたいんだよね」

というのを言っていたら、熊本のお医者さんが「熊本でやろう」と言ってくれました。

なぜ大都市ではなく熊本だったのかというと、大都市だと、多すぎて方向性が分かれるんです。

熊本県の医学は完全に一枚板でした。
全体として同じ方向を目指し、理解してくれおり、一丸となってやってみようとなりました。

技術の進歩と規制

中村:

今はあまりに技術の発展が早くて、ルール形成の方が遅くなっているんですよね。

どうやって、新しい技術が社会にフィットするように、一緒に学びながら、ルールと共に整備しながら進んでいくことがまさに必要なんですよね。

小さくシステムを作ること

今津:

長く続けるのって、都会だと難しいんですよね。場所もないですし。
そこにコツがあるんです。

大きく見て一つのテーマでも、要素技術が発生しますよね。それらをそれぞれ鍛えて、小さなビジネスをする。 

小さな取り組みに分けて、細かく細かく進めていくんです。

中村:

このやり方は、今でこそ主流になりつつありますよね。でも今津さんは相当早くからやっていたんですよね。

今津:

小さなシステムの組み合わせの方が強かったからです。
でも、これが東京だとできないんです。どうしても巨大なシステムを作ってしまう。
いつのまにか規模が膨らんで、大きな仕事になってしまいます。

中村:

巨大なプロジェクトをやろうとすると失敗しますね。
例えば都市OSのようなものを、なにもかも全部制御するようなことは人間の頭にはできないですよね。
大手のGoogleでさえ撤退していますし。

巨大なことをやるのではなく、小さな技術を組み合わせていくんですね。それによって全体が上手くいくんです。

今津:

AIのプロジェクトがあったんですが、そうやった結果、今までより遥かに高い精度がでたんです。競合は技術が高いエンジニアを500人招集したような巨大なプロジェクトでやっていましたが、そんなことやらなくていいんです。

機能ごとに分ければ、さもすると一人のエンジニアで担当できてしまって、それぞれのパーツが対話をすれば、より精度の良いものができる。というわけです。

中村:

この仕組みは、医療や都市OSなど、止まっちゃいけないシステムでも生きてきますよね。
小さなシステムで作ると、どこかが問題点かということも切り分けて管理、考えることができるようになります。

今津

小さなシステムはメンテナンスがしやすいですよね。
例えば地震が起きた時にタワマンだと修繕の規模が大きくなってしまうんですが、地方のように、バラバラに戸建て住んでいたら修繕しやすいです。

中村:

さらにこのシステムは分散で処理されているんですよね。ということはハッキングもできないし、改ざんも不可能ですね。

今津:

いまや建設業界でのシェアが8割を超えるなど、大人気となっています。

小さい技術を組み合わせて、誰にも追いつけないところまできました。

P2P 分散型コンピューティング

中村:

いまはクラウド集中な世の中ですよね。いわば全部のデータ、システムが中央集権になっています。
でもそうではなくて、使っていないコンピュター
例えばiphoneを使ってそれぞれが処理をした方が中央に集めて計算するより早いんですよね。

今津:

データを集めるというのは責任を伴うということでもあります。

データを集めたら責任とコストがかかってしまうのなら、預かるのをやめようと思ったんです。
 みんなのマシンを一対一で繋いでしまえば、サーバーで預かっていないので規制に引っかかっていないというわけです。

中村:

今津さんの考え方は人間的で、例えて言えば隣にいる人が資料をもっているなら資料を見せてもらえばいいというわけなんですね。

ところが今のシステムはわざわざコピーを取って一箇所(サーバー)に集めていると。

株式会社TRIARTホームページ IDEAページより引用:https://triart.co.jp/idea

中村:

データがクラウドに上がっていく仕組みだと、例えば動画がどんどん高画質になっていく時代なわけで、
NETFLIXにみんながアクセスしたら情報のやり取りの量が途方もなくなってしまいますね。

これは毎回コピーしているようなもので上手いデザインじゃないですよね。
ではなぜいまクラウドが使われているかというと、サーバー代で儲けるビジネスモデルが構築されているからです。

今津:

今まではみなさんが秘密の情報を集めていたんです。
例えばテストの採点をする時に、先生だけは全員の点数がわかるようになっていましたよね。これがいわゆるクラサバ(クライアントサーバシステム)の仕組みです。

中村:

こないだまでデータを集め、データは価値だという考え方だったんですが、ヨーロッパを始め、「個人情報を取り扱うのはリスクだ」という考え方に変わっていますよね。

さらにデータを一箇所に集めていると、その一箇所が寸断されたら終わってしまうという問題点もありますね。

感覚的に不自然なものはシステムにすべきじゃない

今津:

感覚的に不自然なものはシステムにすべきじゃないんです
どこかに負荷が集中する仕組みは、自然界の中にはなかったはずですよね。
例えば東京は不自然な仕組みになっていると感じます。
もし東京に災害があった場合、指示機能が破綻してしまうわけです。

中村:

都会に集まるメリットも無くなりましたよね。
コロナが流行する以前は、「こんなにコンサルティング費用を払っているのに都市にこないのは何事だ。」そう言われていました。でもいまは途端に来るなと言われだしました(笑)。オンラインで と。

地方で状況把握できることに気づいてしまったんですね。
東京に集まる必要がなくなったわけです。

「人に頻繁に会えて情報が集まる。」という東京のメリットは、もはや崩れてしまったわけです。

共通機能を持つということ

今津:

中村さんがSUNABACOを作って思うのは、ある意味SUNABACO八代がハブになって各地が点で繋がって、活動できる人が共通機能を持つということですね。 共通機能をもつと対話ができるようになるんです。

中村:

大事なことが、みなさんが共通機能を持っていたら。たいそうなシステムや仕組みを持たずに、人と人との関係性でやりとりができるということなんです。

今津:

中央集権じゃなくてハブなのは、共通機能を持たせたら横連携ができるということですね。いままでは中央に合わせていたわけで。だから横のつながりの話をしなくなっていたんです。

中村:

そして、中央の同じシステムを同じように入れないと、そのシステムは使えませんと言われていたんですよね。

今津:

例えば日本語の中でも、同じものを見たことがあるだとか、同じ考え方をしてるということで情報のやりとりのしやすさが変わりますよね。中村(愛称を込めて呼び捨てにしている)とやりやすいのは、感覚が互いにわかっていたからです。

中村:

今津(愛称を込めて呼び捨て)が言っていることは感性的すぎて伝わりづら部分もありますが、自分はみなさんとも共通機能を持っていて、かつ今津とも共通機能を持っている状態です。なので翻訳者として話すことができるわけです。

今までは天才がプロダクトを生み出せば世界が変わっていました。

でも今は、天才がいて、翻訳者がいて。それを聞く行政の方がいて、
問題を抱えている地域の人たちがいる。

そして解決したいと思っていることに対して「じゃあやろう」となって初めて世の中が変わるわけです。

もうサーバーに個人情報を集める必要はない

今津:

個人情報の話も一箇所に集めずにお互いで渡しあえば平均点を取ることができます。

中村:

わかりやすく話しますね!バレたくない情報を渡す時に、最初に16といった適当な数字を用意しておいて、例えばお付き合いをした人の数を順番に足していって最後の人が人数で割れば平均の数を出せます。

今津:

今まで、サーバーに集めないとできないと思っていた技術者がシステムを組んでいたので「サーバーで計算しましょう、サーバに集めましょう」としか言わなかったのです。そこで分散型なら個人情報を集めることなく計算することが出来ると気が付きました。

中村:

更にいうと2の10乗も一人で計算すると大変ですが、みんなで回して一人づつ掛け算をすると簡単にできます。みなさんのコンピューターの端を借りるというのはこういうことです。

今津:

つまり連携はコンピューターだったんですよ。

中村さん:

人間関係はコンピューターですね。 一人でやるよりもみんなでブレインストーミングをやると良いものが出るのも人間関係というコンピューティングなんです。

今津さん:

そこが大事で、先ほどのSUNABACOの話にも通じます。

共通言語を持つということは、「こっちでデザインするから、あなたはサーバーサイド作ってくださいよ!」というのと同じです。

これがもし誰か介在しないと出来ないとなると、急にコミュニケーションが薄くなってしまい全く違うものが上がってきてしまいます。それだったら誰も預からない方がいいものが作れますよね。

この話と同じく、間を挟まないシステムを組めば良いですよね。さらにデータも預からないので医療情報も預からないことになります。

このようなシステムを組んだら、コストがかからず、皆んなが参加しただけでシステムになるものが作れるんじゃないかという話をやっていました。

そんな中で、生産技術の方から使いたいとの声があり、医療システムに必要な要素技術を、生産技術を作りながら作ることができるようになりました。

中村:

小さな機能を組み合わせて行って別の産業でも使えるようにすることは、すなわち産業用にも使えるし医療にも使えるということです。

ただ、これを証明して幾ら安全ですよと口で行っても全然ダメな中で、本当に「村の人間が助かったよね」という結果を出すために、実証実験を一緒にやれる人が必要です。

さらに今は、政府は実証をやった人に対して責任だけを負わせるのではなく、ルールを変えようというのを一緒にやっています。

今津:

今まではクラウドの整備やインフラを整えることに労力を使っていましたが、分散型の仕組みでその労力がいらなくなりました。

中村:

これって実は会社のマネジメントと一緒です。上層部が優秀でも上層部が潰れたらその会社も倒れてしまいます。部下が情報伝達をやる必要もあり、優秀な人に仕事が集中してしまいます。

実は全部上にあげる必要はなく、それぞれに「この仕事はこれを目的としています」ということをちゃんと下まで伝えて、「やり方はこうですよ」という約束事と共通事項をつくります。そして「それぞれが考えて最適化してください」と言うと上層部に負荷がかからずに経営効率が上がります。

上で何でも投げて、上で判断させてとやっている会社は今伸びなくなってきています。

今津

僕もこの考え方だったので、うちの会社も自分が想定したものよりも明らかに良いものを作る人同士をよこで話し合わせています。そうすると蓋を開けたら自分が考えたものよりも良くなっています。

これをもし、上からオーダーしていたら僕のできることしかできなくなってしまいます。

これがまさにサバクラの仕組みと同じで、サーバーでできること以上のことができなくなってしまいます。サーバーで制限があるから現場で書き換えができないということです。

※サバクラ…サーバとそれを利用するコンピューター(クライアント)がネットワークで繋がったシステムのこと。

中村:

これは情報漏洩も防げます。例えば機密情報があったとして、複数人の要素を合わせないと一つの情報とならないような仕組みとなるので漏洩できません。

今津:

これをうまく利用すると全員が揃わないと使えない情報を作ることができます。この仕組みを応用して現場で撮った写真を会社の敷地内だけで閲覧可能で外に漏らさない技術になりました。それがTRIARTが開発するXCOA-CAM(クロスコア カム)です。

要素技術から広がるビジネス

株式会社TRIARTホームページ SERVICEページより引用:https://triart.co.jp/service

応用される要素技術

今津:

医療でやり出した取り組みが広がってビジネスになっています。

今までの取り組みを振り返ると、昔は言わばウィルスみたいな仕組みを使って計算処理などをやっていましたが、ウィルスなのでだめでした。

ただこれが医療情報になって、その技術がセキュアカメラに使われ、工場の検査システムのにも使われるようになりました。

そして色んな機能がついたのでようやくXMIX(エクスミクス TRIARTが開発する遠隔医療システム)のバージョンをあげる話になりました。

今までは、巨大システムを導入して現場での改善が効きませんでした。

現場で自由に組めて、やりとりでき、連携で機能するようになれば、中央集権から横連携の世界に作り変えられます

そこで開発したXMIXを用いれば医療現場での横連携が可能になります。

医療現場の情報を横で交換しながら業務を組めるようにしました。

現状、医療現場では電子カルテをガラガラ押しながら移動しています。

これをシステムの縛りのない横連携に出来るだけ切り替えていきたいと思っています。

消滅可能性都市はここ2、3年が勝負になる

中村:

お薬を定期的にもらうためだけに街の中心部にいく現状があります。

特に地方の都市で言うと、人口が減少していく中山間地域では最初の問題として金融、つまりATMが無くなったり、バスの本数が確保できなくなったり、お年寄りが街の病院に行けなくなったりして街が衰退していきます。

消滅可能性都市というのは人が減っていって、街のサービスを維持するだけの費用が無くなっていき既存のシステムでは住むことが出来なくなり人が居なくなることを言います。

これを解決しなければいけません。

そこで、もしその場所が住みやすかったら人が集まってきます。

実際にあるのは四国の高松は人口が減っていっていません。

なぜかと言うと四国の中山間地域に住んでいたお年寄りが便利な高松に移っているからです。

八代は特に中山間地域が多い中で、今津と私がやっているMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の問題に取り組み、
貨客根菜のような、お薬も人と一緒に配達できる仕組みを作る第一歩を踏み出せたら良いなと思っています。

その中で技術だけではダメなので一緒にやろうという地域の方々や行政の方々がいて成り立ちます。これがやれる町は企業が集まるんです。

なので企業誘致のイベントでやっています。

八代市はその姿勢があります。
熊本県も行政の方々が来てくれて規制改革とかを一緒にやっている街なので起業するのに凄く適しています。中々このような街は世の中にないと思っています。

今津:

サービスを動かしたい状態、必要なものが揃ってきたときに、やっぱり動くのは熊本大学なんですよね。

その中でやってみると「アプリにするとめんどくさいな」「テレビ電話にすると通話料も大変だな」となったので、
URL一つ開けば受付から専門医の対応などを病院側でまとめられる仕組みを作りました。

このURLはメールで渡しても良いですし、情報の受け渡しはブラウザ間でP2Pで通信でおこなっています。

この仕組みは医療情報は相変らず誰も預かっていません。
以前のように情報をサーバーに集めていないのでお金がかかりません。

医療はプロセスがあるんですよね、例えば受付して専門医に診てもらって薬剤師に情報を渡してなどです。
これは今までサーバーの電子カルテに依存しないと出来ませんでした。

これが長年やっている間に道具(XCOA-CAMなどの技術)が全部揃いました。

さらにこの仕組みを使うと、ある病院で検査受けて、その結果を次の病院で使えないといった課題を解決できます。

また最近PHSが使えなくなったので、無理やり携帯電話で通話している現状がありますが、XMIXの仕組みを使えばスマホを使って通話もミーティングもできるようになります。

中村:

この仕組みは役所でも使えますよね。

なのでスマートな街を作っていくということは、困りごとに対して小さなパーツを組み合わせてやってみるということです。

これをやるためには一緒にやる仲間が必要です。

遠隔医療は本当に課題だと思います。そこでいうと、消滅可能性都市はこの2、3年が勝負だと思います。

総務省のRESASというシステムで将来この街がなくなるかどうかを見られるのですが。

ただこれはデータなので今の行動を変えれば変数が変わります。それが可能なのがこの2、3年じゃないかなと思います。

熊本も新しいことをやることを奨励していますし、八代市でも市長から、スマートシティに取り組むと言っています。

私も今津もコンピューターの民主化を考えています。

スマートシティをやるというと「お年寄りは取り残されるんじゃないか?」と言う話が出ますが、この仕組みでは取り残されません。

スマートシティというのは水や空気のように誰もが当たり前に恩恵に受けられるというのが大事です。

今、多方で言われている「取り残されるんじゃないですか?」という議論は意味がなく、
それはコンピューターが未発達なだけだと思っています。こういう将来像を理解して描いてないと本当に取り残されてしまいます。

今津:

なので医療の中でまず自由にしたいと思っています。

システムのせいで自由な動きが出来なくなっていることが多いじゃないですか。

コンピューターの連携の仕組みを機能として作りましたが、人間の連携もこの仕組みに合った、上に縛られない動き方を作っていきたいんですよ。

ヒューマンリソースを繋いで連携を実現する強力業務アーキテクチャがXMIXの狙いです。

これができると患者さんが情報を持って移動できるようになるので巨大なシステムになりません。

これは実際に熊本大学で取り組みが始まっています。

大事なのは可処分所得よりも可処分時間

中村:

「遠隔医療を始めましょう」「行政にシステムを入れましょう」となると、いままでは巨大なお金がかかっていました。

なので失敗することも出来きませんでした。

ただこれでいくと先ずやってみようと言うときにローコストで始められます。

これはこれからのサービスの特徴です。

これからハッキリ分かっているのは、日本は世界が見たことのないような少子高齢化社会がやってくる中で、可処分所得が減っていきます。

行政も財政的に色んなものが減っていって今までのサービスを続けていくことが出来なくなります。

私が一緒に行政の皆さんと仕事をする中で、今の行政は緊急な何かが起こったときに対応できないくらいコストが減らされて、人も減らされています。

今は職員個人の皆さんの頑張りで支えられています。これは絶対に健全ではありません。

これからの時代に大事なのは可処分所得も大事ですが、可処分時間が大事になります。

産業革命以来、時間を切り売りして飯を得ており、隣の人とも疎遠になっていました。

時間は所得と違い増やすことができません。

仕事の中の可処分時間はコンピューターがやって、スマートにできることがあればコンピューターにやらせれば良いんです。多少ミスがおこってもバグがあろうが、過渡期である上で仕方がありません。

いままで手書きでやっていたものをOCRで認識してデータベースに読み込んで機械学習にかけて…と言うのが誰でもできるようになってきています。

人にしかできないことは、人しかやれません。なのでいかに可処分時間を得るのかが大事です。

可処分時間をつくれば可処分所得を上げていくことができます。時間をつくればサービスの質を上げることが出来るんです。

いわば今まで私たちはミヒャエル・エンデの『モモ』の世界にいたんですよね、灰色の男に時間を切り売りしていたわけです。

ここにテクノロジーというモモが現れたんですよ。

まとめ

今津:

こういうものが発達するとシステムというのは水とか空気のようになるので、その中で何を生み出せるかという話になる。

東京というのはシステム機能じゃないですか、あれがいらなくなるのだったら無理に狭い部屋に住む必要もなくなるので好きな場所で生活することができますよね。

地方の方が過ごしやすいので、自分のクリエイティブなことができます。

中村:

冒頭も言いましたが、東京のような街は東京にしかないんですよ。

東京のような市場は世界になく、世界では圧倒的に地方のような都市が多いんです。

東京で世界に出るスタートアップはほぼ出ていない中で、地方から世界で活躍するスタートアップが出てきています。

地方にサテライトで移転して来てという形ではなく、一緒に育てていくという企業誘致活動になると思います。

来場者からの質問

今回のイベントでは質疑応答の時間がありました。

SUNABACO八代現地で参加した方から、P2Pについての質問や今津氏の取り組みについての質問、スマートシティについての質問が飛び交いました。

イベント当日のTwitterの様子!

全ては紹介しきれないですがイベント参加者からたくさんのツイートがありました!

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